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マロー物語
マローって何? マロー昔話 マローの栄養素と効用 マローの生理学的効用
 
マローって何?
 骨髄のことを英語でマロー(marrow)と言い、語源は「濃厚な滋味のある食物」と言う意味から来ています。
 日本語では最も大切な究極のことを神髄とか真髄などと言います。また骨髄に徹するとも言います。この髄はその中心的な最も大切なもののことで、正に動物においてはマローなのです。
マローには「力」とか「活力」と言う意味もあって,例えば marrow of the land と言えば「国力」を意味します。

 西洋料理に欠かせないものの一つにスープがあります。スープと言う言葉は軽い食事を意味するサパーと共通の語源を持っています。そのスープは骨を煮出してつくった汁のことです。西洋人にとっては骨髄のエキスを食べることは即ち食事を意味していたわけです。スープのことは別に「ストック」ともいい、フランス語では「ブイヨン」と言って西洋料理には必須の食材であるわけです。
 このスープは味が旨いばかりではなく、大変な栄養分に富んだ食べ物であることを西洋の人々はずっと昔から経験的に知っていたのです。

 血液を体全体、隅々に至るまで休むことなく循環させる働きをする心臓と共に、血液そのものもまた生命活動の源泉と言っても過言ではありません。
 血液は貯蔵することは出来ますが、現代の医科学では人工的に生産することはできません。その血液を体内で作り出すのが骨髄なのです。骨髄は骨の中空になっている部分を埋めている組織ですが、大脳が硬い頭蓋骨で護られているように、血液の製造と言う大事な任務を持つ骨髄も硬い骨で護られているのです。

 マローは血液の製造工場そのものですからマローには血液の製造に必要な原材料の全てが揃っているわけです。その主なものだけでも、不飽和脂肪酸、蛋白質、ミネラル(鉄・カルシュム・銅等)、ヴィタミンA・B・D群、コラーゲン、コンドロイチン等々ですが,その他血液に必要な60種以上の微量栄養素が豊富に含まれています。
まさに、偉大なる栄養の宝庫と言われる所以がそこにあります。

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マロー昔話
西洋の神話から

 人里はなれた山中に貧しくてその日の食事にも事欠くような一軒家がありました。
ある日のこと、その一軒家に人間の姿に身をやつした神様がたずねてきました。
神様は「どうか一晩の宿と少しばかりの食べ物を分けてほしい。」と頼みました。
その一家は神様を暖かく持て成すのですが、何しろ貧乏で食べ物がありません。それを知った神様は自分の連れてきた羊を差し出して「これを料理してください。そのかわり肉だけにして骨の髄までは食べないように。」と約束させました。
 ところが、飢えた家族は羊の肉の美味しさに夢中になり、ついには神様との約束を忘れてしまった家族の一人が、こっそり一本の足の髄まで食べてしまいました。
 あくる日の朝、神様が羊の骨を集めて呪文を唱えると、何と! 羊は元の姿に生き還るではありませんか。
ところが、髄まで食べられた足の一本がどうしても元どうりになりません。
神様は家族の誰かが約束を破り骨髄まで食べたことを知り、大変にお怒りになりこの一家に罰を与えたと言うお話です。
 昔から、マローを食べる習慣があったこと、特にマローが美味しく栄養豊富であること、そして動物や人間にとって生命を生み出す源がマローにあることを教示する興味深いお話です。

近代の利用例

 第二次世界大戦前からドイツではマローを原料にした「マネトール」と言う商品名で医薬品として止血剤等に使用されて日本にも輸入されていました。
 戦時中においては野戦部隊の高級将校用の軟膏として砲弾等による傷口の消毒・治療に使われその効用は大きかったと伝えられています。
 第二次大戦後、ボクシングの初代フライ級チャンピオン白井義男のトレーナーであったカーン博士(ドイツ人)が止血剤として「マネトール」を使用していたのは有名な話です。
戦後の食糧難時代、栄養失調で亡くなる人がふえ、国の対策として当時は廃棄されていた牛や豚の骨を集めて骨髄スープを作り供したところ栄養失調から立直る人が増えて、死亡する人も殆ど無くなったと言われています。
 その後は、服用して免疫機能の強化や塗布して美肌効果の増進などに使用されることが多くなりました。

郷土料理で

日本各地で特に土壌が悪く良い作物が収穫できない地域では、どうしても慢性的なカルシュウム不足になりがちで体力,体位も弱い地方でマローを利用した料理が発達しているところがあります。
代表的なところでは沖縄県や鹿児島県の「豚骨料理」もその一つです。
今日、人気の豚骨ラーメンもマローを最大限活用した料理といえます。

現代の科学的利用

現在は効率的にマローを抽出して食品・軟膏・化粧品の素材とするため、生後2ヶ月以内の若牛の骨で断面が太く直線状のものが有効であるとされています。
 更に、塩田信雄工学博士(現日本マロー協会会長)が発明された科学的方法(日本及び国際特許取得)によりマローをドライ殺菌法で熱処理し、水分・蛋白質を完全除去していますのでプリオン他病原菌の心配も無く安心して供することができます。このようにマローは近代製法により、いよいよ科学的に人類の健康と美容等々に大きく貢献できる時代となりました。
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マローの栄養素とその効用
 マローには人体に必要な栄養素、特に造血作用の必須栄養素や脳活性栄養素をはじめ60種以上の豊富な栄養素を含んでいます。その主なものだけでも不飽和脂肪酸、蛋白質、ミネラル(カルシュウム、鉄、銅など)、ヴィタミンA,B,D群、葉酸、コラーゲン、コンドロイチンなど多種多様です。

 特に多い不飽和脂肪酸はリンと結合して「リン脂質」として存在し、中でもスフィンゴエミリンは食品の中ではマローに最も多く含まれています。元新潟大学教授竹村信竹医学博士の分析によれば次表の通りです。

マローの主な成分 percentage/mg
脂 肪 80.0%
蛋白質 11.05%
ミネラル 0.55%
カルシュウム 32.7mg
30〜50mg
リン 18.3mg

不飽和脂肪酸(リン脂質)
 細胞膜、脳、や神経組織の成分となり、頭脳・脳細胞の働きを活性化させる要素となる。
 コレステロールの低下を促し高血圧症ほか成人病の予防、動脈硬化の改善などの効用がある。

複合リン脂質
 スフィンゴエミリン・・・脳神経細胞に特異的に多く存在する。皮膚の細胞間脂質として保湿を促進す               る働きがある。

 レシチン・・・・・・・・・・細胞壁に多く存在して物資の出入に関与し脂肪肝の改善に寄与する。
              脳においては神経伝達物資であるアセチルコリンの原料になる。

ビタミンA 
 皮膚の健康保持、ニキビなどの治療効果が大きい。この不足を来たすと皮下脂肪などの代謝が阻害 され化膿菌などに対する抵抗力が弱まり皮膚炎、ニキビ等に罹りやすくなる。

ビタミンB1
 造血作用に効用があり、貧血予防などの働きがあります。

ビタミンB2・4
 皮下組織の代謝に関係し皮膚の新陳代謝をすすめ、みずみずしい肌をつくる働きがある。

ビタミンD
 骨の強化作用。

ビタミンE  
 抗脂肪肝、流産防止、動脈硬化防止などの効果がある。

葉  酸
 造血作用、貧血防止の作用がある。

コラーゲン
 結合組織成分で細胞の活性を高め、肌の活性化による美肌効果がある。
 コンドロイチンと結合して免疫効果を発揮する。

リン酸カルシウム
 骨強化、神経安定、ヒステリー防止の効果がある。

アミノ酸
 細胞の重要な構成成分でDNA,血液、酵素の原料になる。

ムコ多糖
 保湿作用、細胞老化の防止作用がある。

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マローの生理学的効用ー中村正巳医学博士の研究ー
 骨髄=マローに就いては多くの研究者により多様な効用が研究発表されています。
 元大阪大学医学部教授で徳島医専教授の中村正巳博士の研究によれば、マローには6つの特徴的な効用が強調されています。それは次のとうりです。

◇血液の造成とその改善・・・・血液を増産活性化し免疫力・回復力アップ!

◇栄養補給と内臓の強化・・・・元気な体を作り体力アップ!

◇老人性痴呆及び成人病症の予防と改善・・・・脳と体の老化予防!

◇味覚の宝庫・・・・栄養と旨みの素!

◇美肌効果と毛髪の育成改善・・・・美しく元気なお肌はマローから!

◇失血及び殺菌効果/・・・黴菌もびっくり!


血液の造成と改善
 骨髄は硬い骨に護られて赤血球,白血球、血小板を造成しています。赤血球では一分間に1億個以上を生産し、酸素・炭酸ガスの運搬に血液のHP調整を行い、白血球は免疫機能を司り,血小板は止血作用を行っています。それらは生命維持の必須の機能であります。赤血球は生まれてから120日、血小板は約7日、白血球は約半月の寿命です。骨髄=マローはこの生産から消滅の循環過程をスムースに機能させるためにフルに働きつずけます。その他、血管内の免疫性を司るリンパ球など様々な細胞がありますが、元をたどると肝細胞に行き着きます。肝細胞から分化されたそれぞれの細胞の機能向上にマローの補給が有効であることが臨床的にも実証されています。
 10年間に亘りあらゆる医学的治療にも拘わらず白血球の減少に改善が見られなかった患者が約1年のマローの服用で白血球の数値が約3000であったものが5600(ほぼ正常値)まで回復したなどの実例が挙がっています。


栄養補給と内臓の強化
 マローの成分は非常に高い栄養価を含んでいる上に、体内では生成する事が出来ず体外からしか摂取出来ない必須脂肪酸を多量に含んでいます。成分の大半が脂質であるマローは消化酵素により脂肪酸とグリセリンに分解されてから小腸壁より体内に吸収されます。体内で再び脂質に再合成されますが、マローの脂質は多価不飽和脂肪酸です。多価不飽和脂肪酸は特殊な炭素と水素の結合状態になったω6系成分を多く含有する機能性脂質であり、魚の魚窩脂肪のω3系成分とは違います。一般に栄養補給としてはω6::ω3=4:1の割合で摂取するのが良いとされています。マローの不飽和脂肪酸は皮下脂肪のようないわゆる「あぶら」分になる飽和脂肪酸とは異なり、体内でエネルギーになると共に人体細胞の構成組織や神経系に働きかけ内蔵機能の強化と改善に作用します。
 また、マローの脂肪酸の一つであるオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)は体内の悪玉コレステロールを減少させる効用があります。加齢とともに骨粗鬆症に罹る人が増えていますがマローの摂取によって骨内の骨髄の減少・退化を防ぎ、ひいては骨幹の健全さを保つことに役立ち骨粗鬆症の予防と改善に作用します。


成人病の予防・改善
 成人病による死因はガン、脳卒中、心疾患、肺炎、気管支炎が主なものです。成人病は体内の免疫力の低下を極力防止することが大切であり、何れの症状を取ってみても、マローの補給が効果的であることが実証されています。 マローは血球造成時に胸腺リンパ球の活性化に役立ち、その結果免疫能力が高まり外敵である悪性ウイルスや病原菌あるいはがん細胞に対しても強い抵抗力を発揮することが出来るようになります。本来、加齢と共に胸腺(胸郭の裏側にあるソラ豆状の内分泌腺)は萎縮していきますが、それを阻止、保持しながら活性化して、いつまでも若さを保ち、疲労回復を促す効用があります。


味覚・滋養の宝庫
 昔から濃厚な味の豚骨のスープが沖縄県人などに愛用されていますが、西洋に於いても骨髄の各種料理は珍味な貴重品として賞味されています。一般にマローのエキスはフランス料理をはじめ、あらゆる西洋料理のベースとして重用されています。つまり、料理の「旨みの素」として使われているわけです。牛や豚の骨を5〜6時間煮詰めるとドロッとした旨みの成分が溶け出てきますが、これを「ストック」(フランスではブイヨン)と言います。これがスープやシュチュウあるいはソースなど煮物の味付けのベースに使うわけです。この旨み成分の中には、コンドロイチン硫酸、コラーゲン、などをはじめ各種アミノ酸が結合して出来ているペプタイドなども含まれています。骨を煮出しているうちに、コラーゲンはゼラチン質になり、このゼラチンの中に旨みの成分が数種溶け込むことになります。マローの旨みが特に優れているのは、複数の旨み成分が複合していると言うことにその要因があります。                 私達の身近な旨み成分は、昆布のグルタミン酸ソーダ、えびなどの甲殻類のグりシン、鰹節のイノシン酸などがあります。これらのものは現在では科学的に合成されて調味料として販売されていますが、それらはあくまで単一の旨みに過ぎません。その点マローの旨みは数種の旨みの相乗効果により、一層深みのある旨みとなるのです。
 またわが国では第二次世界大戦語の食糧難時代には,この骨スープにより多くの栄養失調症の人々や結核患者の栄養補給に大きな功績があったと言われていますが、旨みのみならず滋養強壮の効用も大いにあるという事です。


美肌効果と毛髪の育成改善
 マローを皮膚に塗布すると皮膚の表面(表皮)が乾燥せず充分な保湿性を保つことが出来ます。更に表皮細胞の代謝を促進しますから細胞の活性賦活作用が行われ美肌効果が促進されます。
 言い換えると、皮膚に潤い・艶・滑らかさを与えると共に、弾力性を維持・改善してシミやシワの増加を防止する効果があると言うことです。マローの塗布による代謝促進と皮膚細胞の増殖賦活作用に優れていることがラットによって行われた実験の結果でも明らかになっています。                 育毛効果に就いては種々の文献や特許がありますが、欧米の大手化粧品会社でも関心が高く国内に於いても実験的な使用段階では非常に高い評価を得ています。


止血及び殺菌効果
 以前、ドイツのバイエル社から発売されたマローを原料とした止血剤「マネトール」は戦後の日本のみならず今でも評価の高いものです。ボクシングの初代世界チャンピオン白井義男のトレーナーであったカーン博士が常に白井選手の傷の手当てにこの「マネトール」を使用していたのは有名な話です。     バターやチーズあるいは食用油は酸化したり変質することがありますが、マローは黴や雑菌などの発生することは一般には認められません。また冷蔵庫内で乾燥してひび割れしたり硬くなることもありません。これはマローが如何に殺菌力、保湿力に優れているかの査証でもあります。         
 
塩田信雄 工学博士監修
日本マロー協会資料提供
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